宮城県臨床工学技士会 会誌 2004.Vol.No.7 目次に戻る

各施設におけるヒヤリ・ハットについての検討U

呼吸療法機器及びME機器使用(管理)におけるヒヤリ・ハット
東北大学医学部附属病院 集中治療部  開米 秀樹
【事例】
2002年11月24日(日)14時30分頃、結核・感染病棟2階の病室(隔離個室)において、MEセンターから貸し出した人工呼吸器が突然停止した。なお、事故発見後の迅速な対応により患者様への健康被害はほとんどなかった。
【経過】
病棟看護師が患者様の巡回を行った後、1階ナースステーションに戻りテレメーターを確認すると、SpO240%台HR=48bpmに低下していた。直ちに訪室してみると人工呼吸器が停止しており、患者様はチアノーゼ・無呼吸状態だった。直ぐにアンビューバックによる手動換気を行うと共に人工呼吸器のスイッチを数回入れ直したが起動しなかったので、ベル番MEに点検依頼をした。その後、代替器を故障した人工呼吸器と入れ替えてもやはり起動しなかったが、この時電源を常用電源から取っている事に気付き、代替器を非常用電源に接続したところ正常に作動し始めた。病室に到着したMEもこの事を確認し、動作確認を行ったのち患者様に装着し、さらにUPSも追加設置した。
【調査】
事故発生当時、病室内には冷蔵庫や空気清浄機なども稼動していた。また、停電などは起きておらず、常用系・非常用系電源のブレーカーも落ちていなかった。後日、人工呼吸器のメーカー点検や病室内の電源電圧調査などを行ったが、異常は確認されなかった。但しこのメーカーは、冷蔵庫が電源電圧低下を招く原因になりうると報告した。
【要因】
人工呼吸器に常用電源を使用していた事は運用上問題であるが、突然停止した事との因果関係を明らかにすることはできなかった。
【対策】
医療安全推進室(MEも在籍)から、人工呼吸器の電源の取り方や、患者様の巡回やテレメーター監視の徹底などを病棟に通知した。また、MEも人工呼吸器の管理について再検討する必要があると思われた。
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人工呼吸器が突然停止
東北厚生年金病院 臨床工学室 伊藤 孝彦 菊地 徹 鈴木 雅和
【はじめに】
使用中の人工呼吸器が突然停止、換気不能の事例があったので報告する。
人工呼吸器はドレーゲル日本光電社製のエビタ4、2000年6月に納入メーカー総点検の際は異常なくその3ヶ月後に事例が発生。
【状況】
2001年8月24日より使用中の人工呼吸器が8月29日午前4時20分頃に、アラ−ム音と共に操作液晶パネルが真っ黒になり換気が出来ない状態となる、看護師達が対応するが復帰はせず、アンビューバックで換気Dr、MEに連絡し、別の人工呼吸器に変更した。患者様のバイタルは安定している。
ME到着後対処するがエラー音のみ、動作確認も出来ない状況、メーカーに原因を究明させ、病院関係者にも連絡、もう一台も使用不可の状態にした。
9月10日の中間報告、10月10日の最終報告を要約すると、『この事例は国内初。回路のタンタルコンデンサの一つが不良で安全機構が働き換気動作停止。電気回路は設計上問題なく誤差範囲、納入済の製品に対する処置の必要なく、今後は電解コンデンサを使用する。行政機関や他病院へは警告書を提出とした』との事。
【考察】
MEは必ず在中しているわけではなく機械を見るのは主に看護師なので、勉強会等を行い、知識とトラブルに対応できる技術もってもらい、アンビューバックなど必要物品、予備機器や予備パーツは所定の位置に必ずある様にしておく。又、機器の情報を様々な所より得るなど、トラブルの減少、又発生しても軽減出来るように働きかけねばならない。
【結語】
今回の事例では、@循環器病棟という比較的人工呼吸器に慣れた病棟故、対応、処置が手早く的確、連絡体制もきちんとしていた。Aインターネット上でも電気系のトラブルで換気停止報告例があり幾分警戒していた。等が大事故に繋がらなかったといえる。只、メーカーの対応が悪いのが印象に残る。使用するのは患者様故、メーカーサイドも色々と考えてもらいたい。
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ヒヤリ・ハットについての検討

公立刈田綜合病院 MEセンター 佐藤 芽久美
【病院紹介】
当院は平成14年5月に旧病院老朽化に伴い新築移転し、まもなく移転後1年目を迎える。新病院は地上3階建てで診療科18科、病床数308床、免震構法を採用し、リハビリガーデン、ヘリポート等の設備がある。
【MEセンター独立】
移転に伴い、我々臨床工学技士も看護科透析室所属より独立し、診療技術部MEセンターという部署を設けることができた。MEセンターは院内の中央部に位置しており各部署の要請に迅速に対応できるようになっている。現在6名の臨床工学技士が勤務しており、血液浄化、心臓カテーテル検査、高気圧酸素治療ペースメーカクリニック、ME機器管理の業務をそれぞれ交代で行っている。また、待機制をとり全ての業務に緊急対応している。
【ME機器管理】
従来、院内のME機器は、各部署単位で所有管理もしくは、庶務課管理で院内貸し出し、機器の保守を行っていたが、安全かつ効率的に運用することを目的に移転後臨床工学技士がME機器の中央管理を実施することになった。この際、機器管理システムの構築と平行して関連部署との連携協力体制の確立に重点を置き業務計画を進めた。
中央管理化実施にあたり管理機器に番号を付け、ME機器管理ソフト(JMS社製ME Light)を使用して輸液ポンプ、シリンジポンプ、IABP、透析機器全般のデータベース化を行った。この事により院内の稼動状況やチェックリストを参考に使用前点検、定期点検、修理、貸し出し、配置調整等ができるようになった。中央管理下にない機器に関しては、各部署で発生した機器トラブルによりMEセンターに問い合わせがあったものに対して、できるだけ対応するよう努力している。
【ヒヤリ・ハット事例】
今回は現在管理下にあり定期的に保守点検を行っている透析機器、IABP、輸液・シリンジポンプに関するヒヤリ・ハットの現状を報告する。
*透析室でのヒヤリ・ハット
機械操作ミスが最も多く、ほとんどが設定ミスであった。
1)血圧測定後に除水設定をしようと思っていたが忘れてしまい、透析開始から15分間除水されていなかった。
2)透析時間が3.5時間だったが、4時間で終了するよう設定されており終了直前に気付いた。
3)ヘパリン注入器のスイッチは入っていたが注入速度が0のままで2時間目のチェックで気付いた。
ほとんどが透析開始前のミスで思い込み、確認不足によるものであった。チェッカーによる再確認を実施していたにもかかわらず発生した為、チェック方法の再検討などを行った。 透析機器における安全対策としてはコンソールの開始前自己診断、2ヶ月毎のメンテナンス、年1回のオーバーホールを行い、除水異常疑い等が発生した際にはその都度点検を行っている。
*IABPの事例
中央管理化実施以前、心カテ中IABPを使用する事になった際、電源を入れても作動せず急遽代替機で対応することになった。原因は駆動部(セーフティーディスク)の劣化によるものだった。当時責任の所在が曖昧だった事もあり業者任せにしていた。
現在は使用後点検、月1回の定期点検、動作確認を行っている。
*輸液・シリンジポンプの事例
1)シリンジポンプを使用中、他の作業をする為に三方活栓をオフの状態にし元に戻すのを忘れ薬剤が注入されていなかった。各勤務帯で何度かチェックする事になっているが発見されず閉塞(過負荷)アラームも鳴らなかった。
2)コンセントが電源に差し込まれておらず、内蔵バッテリーで作動、電圧低下アラームが鳴った。
3)輸液ポンプの気泡アラームを解除する為クレンメを閉じ、開放するのを忘れ、閉塞アラームが鳴って気付いた。
4)麻薬の時間量を確認していたが、追加の 際3ml/hを2 ml/hで追加した。
5)輸液ポンプ使用中、積算量がカウントされていたので点滴が入っていると思ったが、点滴ボトルの量が減っておらず、ラインが閉塞していた。
流量設定ミス、クレンメ操作ミス、電源入れ忘れ等があり、原因は思い込みや忘れた等の人的ミスによるものだった。各部署単位の再発防止の検討が必要である。また、輸液ポンプ・シリンジポンプにおいて使用部署からMEセンターへ修理、点検依頼があったものでは「流量誤差がある」「閉塞(過負荷)アラームが鳴らない・多発する」「気泡アラームの多発」「異常なアラーム(電源スイッチの断線)を発する」「バッテリー不良」「破損」等があった。
点検しても異常が認められないものに関しては輸液セット、シリンジのセッティング不良が原因と考えられるものが多かった。
セット不良に関しては、機器が返却された時点で状況が分からず原因究明が困難である為、異常発生時の現場確認が重要である。また、同じ部署で同じ異常が繰り返される場合は、何らかの原因があると考えられる為、その原因究明が大切である。
【まとめ】
今まで当院においてヒヤリ・ハット委員会は看護部でのみ行っており、事例をまとめたものが「ヒヤリ・ハットだより」として看護課各部署に配布され、スタッフへの注意を促していた。技士は透析室で発生したヒヤリ・ハットをレポートに書く程度の参加しかしていなかった。その為院内のME機器に関するヒヤリ・ハットの実際も把握できていなかった。しかし今年4月になってから院内全体で取り組むようにシステムが変わり、新しく全職員対象のインシデント報告書が作成された。本格的な活動はこれからなので委員会への参加等、積極的に行いたいと思っている。ME機器に関しては現在のところ、人員不足の関係もあり臨床業務を優先させなければならない為、メンテナンス業務に充分な時間がとれないというのが現状である。機器管理を行うようになり1年になるがまだまだ管理していない機器も多く、病棟より人工呼吸器等の機器管理要望も増加していることから、スタッフ研修を行い早期に中央管理化しなければならない。今後の課題として、技士の業務内容・スケジュールの見直しを行い、中央管理の拡大に努力していきたい。ヒヤリ・ハットの防止に関しては、各種トラブル対策として、装置への簡易操作マニュアル添付、勉強会、説明会等を行い各部署への積極的な安全操作への働きかけをして再発防止に努めたい。
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