■宮城県臨床工学技士会 会誌 2004.Vol.No.7 目次に戻る
臨床工学技士はどの様にME機器を管理すべきか?
当院における輸液ポンプ点検方法
仙台市医療センター 臨床工学室 勝又 尚紀 千葉 美樹 鈴木 一郎
【はじめに】
当院では週一回月曜日にME機器の点検を行っており、機器の清掃、使用状況の確認及び指導、故障の早期発見を目的としている。修理点検については、機器の使用状況を確認後、故障の再現性があるかを動作確認する。使用者による各機器の故障報告から技士が院内修理報告書を作成し、再現性があれば院内修理、部品発注、外注修理を行っている。
【目的】
当院では週一回月曜日を点検日と定めておりその目的は輸液ポンプの清掃、使用状況の確認、故障の早期発見、適材適所が目的である。
【対象】
テルモ社製輸液ポンプTE-112が85台。STC-508が13台。日本光電社製輸液ポンプTFV-2100が4台。テルモ社製シリンジポンプSTC-525が29台。TE-312が10台で総数141台の輸液ポンプが対象である。
・点検方法
輸液ポンプ点検方法は外観チェック、セルフチェック、清掃、整理整頓、点検台帳への記入の順に行い、シリンジポンプ点検方法は外観チェック、セルフチェック、シリンジ検出チェック、残量・閉塞アラームテスト、清掃、整理整頓、点検台帳への記入の順に行っている。
・点検から修理へ
機器のトラブルが発生した場合、使用者が臨床工学技士へME機器関連報告メモで報告し、その内容に従い不具合の再現性を臨床工学技士が点検、院内修理報告書を作成する。点検後異常がないと判断されればそのまま病棟へ返却し、責任者に報告する。故障と判断されれば院内修理、部品発注、外注修理を行い、院内修理であればその修理内容を院内修理報告書に記載し、外注修理であれば外注修理伝票を作成し用度課を通し見積もり後業者に修理を依頼している。
・病棟依頼点検
病棟依頼点検方法は看護師からME機器関連報告メモで依頼された時のみ行いその内容は外観チェック、セルフチェック、流量検査・バッテリーテスト、清掃、その内容を院内修理報告書に記載している。
・輸液ポンプ流量検査方法
新品の輸液セットを用い低流量設定で流量10ml/h・予定量10mlで開始し、また高流量設定で流量50ml/h・予定量50mlで開始する。一時間後の注入積算量を確認し両者の誤差が±10%以内で合格としている。
・シリンジポンプ流量検査方法
シリンジポンプ本体に50mlのシリンジをセットし、患者側にも50mlのシリンジをセットし、数時間後注入積算量を確認、時間数に設定流量を掛け±3%以内で合格としている。
・バッテリーテスト
当院ではバッテリーの交換時期を2年とは定めておらず、ニッカドバッテリーがもつと言われる特異的なメモリー効果をバッテリーリフレッシュで消去し、一時間以上の連続運転で合格とし、それ以下でバッテリー交換の時期としている。バッテリーリフレッシュは最低二回以上行っている。
・機器購入の流れ
カタログで機能性・操作性・価格などを考慮し、デモ機でベンチテストを行い、実際の使用者である看護師の意見を取り入れ機種選定に入り、見積書や新規購入申請書を揃え物品購入委員会に提出し購入となっている。
【考察】
週一回月曜日に点検することにより輸液ポンプの清掃、使用状況の確認を行い機器の適正使用の指導また故障の早期発見が可能である。その結果機器のダウンタイムを削減させることができ、ME機器中央管理としての週一回月曜日の点検は有効な手段と考えられた。
輸液ポンプ中央管理には点検台帳及び各修理伝票の作成・管理が必要であり、点検履歴・修理履歴を管理することによりポンプ個々の故障傾向を知ることができ、消耗部品等の交換の目安にもなっている。また業者への修理依頼で見積もり書が高額となった場合、廃棄から新規購入への判断がスムーズに行える。当院での修理件数は週一回月曜日の点検結果、減少傾向にある。
【結果】
週一回月曜日を点検日と定めた。
点検台帳及び各修理伝票の作成・管理を行った。
輸液ポンプ141台の院内点検を実施した。
過去5年間の修理件数は院内修理が79件、外注修理が32件であった。
購入時の機器選定において機器の統一化に貢献した。
臨床工学技士による輸液ポンプの管理
東北公済病院 臨床工学室 千葉 茂
近年臨床工学技士による輸液ポンプの保守点検を含めた管理を行う事は多くの利点を得る事が出来る。その一つとして院内に有る限られた台数での有効な運用が可能である事、また何らかの故障が発生した場合にも院内での処理によって復旧可能なのか、メーカーへの外注によっての修理が必要なのかの判断が明確になる事である。これは機器のダウンタイムの短縮、不必要な点検修理費の軽減に繋がりコストの削減になる。当院で使用している輸液ポンプはJMS社製OT-601、OT-701の2機種でありその全てにME管理ナンバーを本体及び電源コードに表示しメーカー名、S/N、納入年月日、付属品の有無、修理履歴等を入力できる管理台帳を作成し、PCに登録している。これらは保守台帳として利用する事が可能であり、このリストを基に点検修理を繰り返す輸液ポンプに関しては、廃棄処分の時期を決定する判断材料としている。当院での輸液ポンプの保管場所は一般貸し出し用としては手術室患者乗せ換えホールに、ICUや産婦人科病棟などの使用頻度が多い部署には台帳上、長期貸し出し機としてバッテリー充電が出来るようテーブルタップを備えた棚を設置し保管している。また貸し出し方法として平日勤務時間内は臨床工学技士に電話連絡のうえ手術室患者乗せ換えホールの棚から貸し出しし、夜間及び休日は手術室当直看護師に電話連絡の上、同様に貸し出ししている。その際貸し出しノートに日時、貸し出し先病棟名、ME管理No、電源コードNo、付属品の有無の記載を行ってもらう。これは返却時に返却日時を記載してもらうとともに、本体及び付属品が貸し出し時と同様かをチェックする事で紛失を防ぐ為である。返却された輸液ポンプはその都度当院作成のチェックリストに従い点検を行い全ての点検項目を満たした輸液ポンプは再度管理用棚に貸し出し用ポンプとして管理される。故障及びトラブルが発生した場合は院内PHSまた、時間外であれば携帯電話連絡によって対応し内容を把握、設定の変更及び操作方法の説明、ポンプの交換を指示する。回収されたポンプに関しては点検を行い院内で修復可能な場合は再度貸し出し棚に返却し、メーカー修理が必要な場合は用度課へ修理依頼書を作成提出しメーカーとの機器の受け渡しの窓口となっている。当院での輸液ポンプ管理の問題点は、一般貸し出し機の返却率が悪い、長期貸出機の点検不足、トラブル発生時に直ぐに別のポンプに交換されてしまう事があり、トラブルの原因があ機器によるものなのか、人為的なものなのかの判断が出来ないなどがある。これらの問題を解決するため今後の課題として輸液ポンプは院内全体での共有の物という意識改革、長期貸出機に対する保守点検の充実、トラブル発生時の連絡系統の徹底及び簡易マニュアルの作成、使用中のポンプに対する巡回点検など行わなければならないと考えている。最後にCEが輸液ポンプ及び医療機器の保守点検を行う事によって多くの利点が得られると思われる。しかし当院においてはまだ改善の余地があるのも事実でありこの事をふまえ、今後さらに保守点検業務を充実させ安全な医療を提供していきたいと思う。
当院における中央機器管理の1つである輸液ポンプについて
石巻市立病院 中央診療部集中治療室 伊藤 光
当院は石巻医療圏の2次救急医療の充実をはかるために平成10年1月に石巻市内の初の公立病院として開院しました。
病院は太平洋に面し、東側には北上川の河口があり、環境的に恵まれた立地条件となっています。
診療科は消化器系の内科、外科を中心とし計14科となっており、病床は204床(うちICU4床)であり、3階東病棟(外科、皮膚科、眼科)、3階西病棟(整形外科、婦人科、耳鼻咽喉科、麻酔科)、4階東病棟(消化器科、放射線科)、4階西病棟(小児科、循環器科、呼吸器科)とICUの5病棟からなっており、内8床がHCUの地域の中核病院である。平成11年5月、ME就任以降、MEセンターの開設及びME機器保守管理体制の確立により、よい結果が得られたので報告する。当院の輸液ポンプの総数は、手術室・ICUで20台(STC−508:テルモ社製)、病棟・外来で59台(TE−112:テルモ社製)計79台である。輸液セットの形式が合わないため、手術室・ICUのポンプは他部署への貸し出しはしていない。稼働率の高い病棟・外来について述べる。ME就任以前のME機器及び管理は、各病棟に均等に配分され看護師長により行われていた。MEセンターの開設にあたり、定数化による管理を行った。そのため各病棟のポンプ使用頻度の統計を出し、それにもとずいて定数配置をおこない、また残ったポンプは、貸し出し予備分として確保し、定数以上のポンプが必要な場合や故障時の代替えようとしてポンプを貸し出す体制をとった。しかし、必要最低台数を配置したにもかかわらず、ある病棟においては、ほとんど使用されていなかったり逆にMEセンター及び他の病棟へ借りに行かなければならないなど病棟間での使用頻度に差が生じ、相互の貸し借りなどでポンプの所在が不明になる問題があった。何度か定数変更をおこなったが改善できなかった。その問題を一掃しようと2年ほど前より、一括化を取り入れた。一括化は、各病棟に輸液ポンプを配置せず、必要時に必要な分だけ貸し出した。定数化による管理時には、故障点検、定期点検は実施していたが、使用後点検は、実施していなかった。一括化になり、基本的に貸し出したポンプは、使用後責任をもって当病棟が返却としているが、MEによる朝、夕のラウンドによる回収も行っている。返却機器はMEセンターの返却テーブルに置かれ、朝、夕のラウンド後、返却時点検を施行している。返却点検方法は、チェックリストは用いず、外観テスト、閉塞テスト、気泡センサーテスト、流量テストの4点である。このとき異常が見つかれば故障点検に移行する。貸し出し時に異常が見つかれば、各病棟に配布してある修理依頼伝票に記載のうえ、MEセンターに返却としている。故障点検の内容は、機器カルテに記載し管理している。定期点検は年2回、チェックリストを用いて実施している。機器カルテは、各機器ごとに作成しており、形式・製造番号・機器管理番号・製造年月日・購入年月日・廃棄年月日を記載している。また、故障時の内容及び修理状況、定期点検日なども記載している。機器カルテの裏面には、機器ごとのチェックリストが作成されており、修理完了時の点検および定期点検時に活用している。チェックリストの内容としては、取説のチェック項目を参考にしていて、外観テスト・気泡センサーテスト・バッテリーテスト・漏れ電流テスト・当院において、故障頻度の多い閉塞アラームテストに関しては、時間範囲内法と圧力範囲内法でチェックし、1番重要視される流量テストも短時間法と長時間法の2方法を取り入れることでポンプの精度を高めている。こちらは、各病棟に配布してある修理依頼報告伝票である。こちらは、漏れ電流の測定および圧力ゲージを用いて閉塞アラームテストを行っているところです。これは、先ほどの拡大したものです。一括化を取り入れることで、まったく使用されないポンプ、所在不明になるポンプがなくなり、定数化にくらべ回転率・稼働率ともに10%以上の効果がみられた。医療機器は使用経過とともに発生する装置故障の可能性及び人的原因と対策については、使用前・使用後や定期点検及びオーバーホール時の部品交換などによってできるだけ長時間正常な使用状況を維持できるようなメンテナンスが重要である。また、修理依頼されたなかにはヒューマンエラーと思われる故障も多く見受けられ、使用にあたる主たる看護師の使用法について充分な教育が必要である。ME機器の中央管理(一括化)を行うことで最小限の機器で効率よく共用運用でき平均稼働率は85%以上を維持できている。そして返却点検を行うことで機器の異常を早期に発見でき院内で異常時の点検・修理をおこないメ-カー依頼件数を極力少なくし修繕費とダウンタイムの削減が可能であった。また経済上の向上のみならず安全上の向上が実現できていると考えられた。しかし中央管理ということで機器の扱いが乱雑になりヒューマンエラーによる機器のトラブルに対しても原を追求せずに安易に機器が原因と決め付け機器を交換することで解決してしまうことがあると思われる。
輸液ポンプの管理
(医)永仁会永仁会病院 臨床工学科 畠山 伸
はじめに、概要ですが当院は、消化器疾患と慢性腎不全の治療に特化しその領域で地域医療に貢献することを基本方針とした病床数80床(個室60床)、血液透析64床の病院である。当院の輸液ポンプの管理は、中央管理システムではなく、外来、手術室、各病棟、腎センターにそれぞれ配置している。また定期点検や故障時の代替え用に臨床工学室にも数台配置しています。規模は大きくないので管理している数も決して多くは無く、他の総合病院よりはメンテナンスしやすい環境だと思います。基本的に機器故障時には、他のME機器も同じですが、臨床工学科で作成したフローチャートを用いて対応するようにしています。また、出来る限りコストを抑える意味でもバッテリー交換や各部品の交換などは院内修理で対応している。無理な場合はメーカーに来院して教えてもらい、それ以上はメーカー修理依頼としている。また、院内の機器点検修理依頼書を作成して、異常発生日時、セクション、不具合の発生した内容を具体的に記入してもらうシステムに変更することで、臨床工学科に休日、夜間帯と持ち込まれた原因不明の機器は激減し点検もスムーズに行えるようになった。修理依頼内容で、最も多いのは圧倒的に流量誤差と敵落検知器のコントロールエラーです。これらは、点検すると大体異常の無いヒューマンエラーです。院内の事故防止委員会で原因が追究されますが、当科としても、メンテナンス以外でも積極的な勉強会をメーカーと共に開催して自己啓発を促しています。定期点検はメーカーからのメンテナンスマニュアルを用いて4ヶ月毎に点検しています。当院で使用しているポンプも古くなり、今後は機器更新に伴う新機種メンテナンス講習会の受講など技士個々のスキルアップは必須である。継続して院内での勉強会の開催、メーカーと病院間でのメンテナンスにおける責任問題の再確認等を行って今後の業務を進めていきたいと思います。
どのようにME機器を管理すべきか?
仙台社会保険病院 臨床工学部ME係 槇 昭弘
当院ME係が発足して3年経過したが、その3年間を振り返り報告したいと思う。発足当時に病院側及び看護部が提示した要望は、自分が考えていた構想とは少々懸け離れていた。新規購入はせずに、現状の機器台数をできるだけ維持し、使用頻度を上げ行う事・保守管理料を削減・安全性の向上・適正機器の選択などであり、呼吸器の保守点検も依頼された。初年度から要望を100%こなす事は無理と考え、3ヶ月でME機器の登録と、部署ごとの必要台数の調査から始めた。登録後に部署所有機とME所有機に分別し、貸し出し業務を開始した。またメーカーメンテの協力が得られ、修理業務を始めた。現在ではME管理の機器は検査・OPE室内の特殊機器を除き、ほとんどを管理しており、院外への修理依頼は5%程度になっている。しかし管理とは名ばかりで、ME専任技士が1名であるため後手に回ることが多く、故障が生じてからの修理となり、故障を未然に防ぐまでには程遠いものがある。人口呼吸器については、エアーコンプレッサーと点検機器を購入することができ、今年度から1ヶ月毎の定期保守点検業務を行えるようになった。また、院内でのME機器の勉強会・講習会などを、開催するようになった。3年間を振り返って見ると、ME業務を行うためには病院側・看護師の協力と、メーカーの協力があってこそ行えることであり、完全中央化に向けてこれからも連携図っていかなければならないと思う。
資料:スライド ファイルサイズが大きいためダウンロードして閲覧することをお勧めします。