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X線CT装置等が植込み型心臓ペースメーカ等へ及ぼす影響について

1.概要
(1) X線CT装置等と植込み型心臓ペースメーカ等の相互作用に係る「使用上の注意」の改訂指示等について(平成17年11月25日付薬食安発第1125001号安全対策課長通知)
日本メドトロニック社製の植込み型心臓ペースメーカ(販売名:メドトロニックInSync8040)については,X線CT装置によるX線を照射することにより部分的電気的リセット(以下「リセット」という。)等を引き起こしていることが判明したため,添付文書の「使用上の注意」の改訂を指導し,「医薬品・医療機器等安全性情報No.213」により,その内容の紹介を行う等の注意喚起を行ってきたところである。
また,同様の事象が他の植込み型心臓ペースメーカ及び植込み型除細動器(以下「植込み型心臓ペースメーカ等」という。)にも発生する可能性があることが判明したため,植込み型心臓ペースメーカ等の製造販売業者が点検を行った結果,全ての製造販売業者の植込み型心臓ペースメーカ等において,X線の照射中にオーバーセンシングを引き起こしていることが判明した。
このため,植込み型心臓ペースメーカ等並びにX線CT装置及びX線CT装置を組み合わせた医療機器(以下「X線CT装置等」という。)を取り扱う製造販売業者に対し,添付文書の「使用上の注意」を改訂するよう指導するとともに,医療機関に対し注意喚起を行う等の措置を講じたのでお知らせする。

(2) 日本メドトロニック社製の植込み型心臓ペースメーカ(セラシリーズ)に係る注意喚起等について(平成17年11月25日付薬食安発第1125005号安全対策課長通知)
日本メドトロニック社製の植込み型心臓ペースメーカのセラシリーズ「セラDR-i」並びにこれと同様の構造を有する「セラD-i」,「セラS-i」,「セラSR-i」及び「セラVDD-i」(以下「セラDR-i等」という。)についても,メドトロニックInSync8040同様,X線CT装置によるX線を照射することによりリセットを引き起こすことが判明した。
このため,日本メドトロニック社に対し,セラDR-i等について,使用中の患者の安全確保のため,医師等に注意喚起するよう指導するとともに,医療機関に対し注意喚起を行う等の措置を講じたのでお知らせする。

2.企業に対する指導内容
(1) X線CT装置等と植込み型心臓ペースメーカ等の相互作用に係る「使用上の注意」の改訂指示等について
1)植込み型心臓ペースメーカ等を取り扱う製造販売業者に対し,次のとおり指導した。
(1) 植込み型心臓ペースメーカ等の添付文書の「重要な基本的注意事項」の項に以下の内容を記載すること。
ア. 植込み型心臓ペースメーカ
「本品を植込んだ患者のX線CT検査に際し,本体にX線束が連続的に照射されるとオーバーセンシングが起こり,本品のペーシング出力が一時的に抑制される場合があるので,本体にX線束を5秒以上照射しないよう十分に注意すること(相互作用の項参照)。」
イ. 植込み型除細動器
「本品を植込んだ患者のX線CT検査に際し,本体にX線束が連続的に照射されるとオーバーセンシングが起こり,適切な治療の一時的な抑制又は不適切な頻拍治療を行う可能性があるので,本体にX線束を照射しないよう十分に注意すること(相互作用の項参照)。
(2) 植込み型心臓ペースメーカ等の添付文書の「相互作用」の項にX線CT装置及びX線CT装置を組み合わせた医療機器を併用機器として追記し,以下の表を記載すること。
ア.植込み型心臓ペースメーカ
相互作用
X線束が連続的に照射されるCT検査に際し,本体内部のC-MOS回路に影響を与えること等により,オーバーセンシングが起こり,植込み型心臓ペースメーカのペーシングパルス出力が一時的に抑制されることがある。
対策・措置方法
・本体植込み部位にX線束を5秒以上連続照射しないようにすること。
・やむを得ず,本体植込み部位にX線束を5秒以上連続して照射する検査を実施する場合には,患者に“両腕挙上”をさせる等してペースメーカ位置を照射部分からずらすことができないか検討すること。それでも本体植込み部位にX線束を5秒以上連続的に照射することがさけられない場合には,検査中,競合ぺーシングをしない状態で固定ぺーシングモードに設定するとともに,脈拍をモニターすること。又は一時的体外ぺーシングの準備を行い,使用すること。
イ.植込み型除細動器
相互作用
X線束が連続的に照射されるCT検査に際し,本体内部のC-MOS回路に影響を与えること等により,オーバーセンシングが起こり,植込み型除細動器のペーシングパルス出力が一時的に抑制されたり,不適切な頻拍治療を行うことがある。 ・ 本体植込み部位にX線束を照射しないようにすること。
対策・措置方法
・やむを得ず,本体植込み部位にX線束を照射する検査を実施する場合には,患者に“両腕挙上”をさせる等して除細動器位置を照射部分からずらすことができないか検討すること。それでも本体植込み部位にX線束を照射する場合には,検査中,頻拍検出機能をオフにした後,脈拍をモニターすること。又は一時的体外除細動器や一時的体外ぺーシングの準備を行い,使用すること。
(3) すでに植込み型心臓ペースメーカ等を植え込まれている患者に対しても同様の注意喚起がなされるよう,患者手帳へ上記(1)及び(2)の内容に関して追加記載を行うなど,適切な措置を講じること。
2)X線CT装置等を取り扱う製造販売業者に対し,当該医療機器の添付文書の「重要な基本的注意事項」の項に以下の内容を記載するよう指導した。
「植込み型心臓ペースメーカ又は植込み型除細動器の植込み部位にX線束を連続的に照射する検査を行う場合,これらの機器に不適切な動作が発生する可能性がある。検査上やむを得ず,植込み部位にX線を照射する場合には,植込み型心臓ペースメーカ又は植込み型除細動器の添付文書の「重要な基本的注意事項」の項及び「相互作用」の項等を参照し,適切な処置を行うこと。」
3)植込み型心臓ペースメーカ等及びX線CT装置等を取り扱う製造販売業者に対し,当該医療機器を取り扱う医療関係者に,上記1)及び2)の内容について注意喚起するよう指導した。

(2)日本メドトロニック社製の植込み型心臓ペースメーカ(セラシリーズ)に係る注意喚起について
日本メドトロニック社に対し,当該医療機器を取り扱う医師及び診療放射線技師等に,以下の事項を情報提供し,注意喚起するよう指導した。
1) セラDR-i等はリセットを引き起こす可能性があることから,刺激閾値が3.5V以上の患者又は刺激閾値が不明の患者に対するセラDR-i等の植込み部位へのX線CT装置等によるX線照射は原則行わないこと。
2) なお,診療上やむを得ず当該本体植込み部位へのX線照射を行う際には,脈拍をモニターするとともに,プログラマーによりリセットの解除等を速やかに行える専門医等の立ち会いのもとX線照射を行うこと。
3) また,刺激閾値が3.5V未満の患者においては,当該本体植込み部位へのX線CT装置等によるX線照射後は,可能な限り速やかにセラDR-i等に異常が生じていないか確認を行うこと。

3.医療機関へのお願い
(1)X線CT装置等と植込み型心臓ペースメーカ等の相互作用について
植込み型心臓ペースメーカ等を植込まれている患者に対しX線CT装置等を使用する際には,以下の事項について留意の上,当該医療機器の適正使用をお願いする。
1) 植込み型心臓ペースメーカの植込み部位にX線束を5秒以上連続照射しないこと。
2) 植込み型除細動器の植込み部位にX線束を照射しないこと。
3) 診療上やむを得ず,植込み型心臓ペースメーカの本体植込み部位にX線束を5秒以上連続して照射する検査を実施する場合には,患者に“両腕挙上”をさせる等してペースメーカの位置を照射部分からずらすことができないか検討すること。それでもなお,本体植込み部位にX線束を5秒以上連続的に照射することが避けられない場合には,検査中,競合ぺーシングをしない状態で固定ぺーシングモードに設定するとともに,脈拍をモニターすること。又は一時的体外ぺーシングの準備を行った上で使用すること。
4) 診療上やむを得ず,植込み型除細動器の植込み部位にX線束を照射する検査を実施する場合には,患者に“両腕挙上”をさせる等して除細動器位置を照射部分からずらすことができないか検討すること。それでもなお本体植込み部位にX線束を照射する場合には,検査中,頻拍検出機能をオフにした後,脈拍をモニターすること。又は一時的体外除細動器や一時的体外ぺーシングの準備を行った上で使用すること。また,すでに当該製品を植込まれた患者が不用意に他の施設で診療し,X線束の照射を受けることのないよう,患者に対し,十分な説明をお願いする。

(2)日本メドトロニック社製の植込み型心臓ペースメーカ(セラシリーズ)について
セラDR-i等を植込まれている患者に対してX線CT装置等を使用する際には,以下の事項について留意の上,当該医療機器の適正使用をお願いする。
1) セラDR-i等はリセットを引き起こす可能性があることから,刺激閾値が3.5V以上の患者又は刺激閾値が不明の患者に対するセラDR-i等の植込み部位へのX線CT装置等によるX線照射は原則行わないこと。
2) なお,診療上やむを得ず当該本体植込み部位へのX線照射を行う際には,脈拍をモニターするとともに,プログラマーによりリセットの解除等を速やかに行える専門医等の立ち会いのもとX線照射を行うこと。
3) また,刺激閾値が3.5V未満の患者においては,当該本体植込み部位へのX線CT装置等によるX線照射後は,可能な限り速やかにセラDR-i等に異常が生じていないか確認を行うこと。また,すでに当該製品を植込まれた患者が不用意に他の施設で診療し,X線束の照射を受けることのないよう,患者に対し,十分な説明をお願いする。