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平成18年(2006年)7月 厚生労働省医薬食品局
新方式携帯電話端末による植込み型医療機器(心臓ペースメーカ及び除細動器)への影響について
携帯電話端末等による植込み型心臓ペースメーカ及び植込み型除細動器(以下「植込み型医療機器」という。)への影響については,これまでも「医薬品・医療機器等安全性情報」のNo.136(平成8年3月号)、No.137(平成8年5月号)、No.143(平成9年6月号)、No.155(平成11年6月号)、No.173(平成14年1月号)、No.179(平成14年7月号)、No.190(平成15年6月号)、No.203(平成16年7月号)及びNo.216(平成17年8月号)において累次、注意喚起を行ってきたところである。
総務省においては、平成12年度から電波の医療機器への影響に関する調査を実施しており、平成17年度には、それまでの調査結果を基に「各種電波利用機器の電波が植込み型医用機器へ及ぼす影響を防止するための指針(平成17年8月制定、以下「指針」という。)」が策定されたところである。
今般、総務省は、新たに導入された方式による携帯電話端末(800MHz帯W−CDMA方式、以下「新方式携帯電話端末」という。)から発射される電波による植込み型医療機器への影響について調査を実施し、その結果、当該調査を行った携帯電話端末についても、「携帯電話端末を植込み型心臓ペースメーカ装着部位から22cm程度以上離すこと」などとした現行指針を適用することが妥当である旨、本年5月30日に公表した。本稿においては、今般総務省が実施した調査内容等について紹介するものである。
なお、総務省による今般の調査結果及び当該調査を踏まえた改訂後の指針については、[http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060530_1.html]においても閲覧できるので適宜参照されたい。
1、総務省による今般の調査内容
新たに実用化された800MHz帯W−CDMA方式の携帯電話サービスで用いられる携帯電話端末の代表的機種から発射される電波が、現在使用されている植込み型医療機器の代表的機種へ及ぼす影響について、その影響が一番大きくなると考えられる実験条件を設定して調査が実施された。
(1)携帯電話端末 携帯電話事業者の協力を得て、以下の携帯電話端末について調査を実施。
・新方式携帯電話端末(800MHz帯W−CDMA方式):1機種(注)
(注)調査対象とした携帯電話端末は、調査実施時において入手可能であった機種の中で電波の放射強度が最も高い機種を選定。
(2)植込み型医療機器 ペースメーカ協議会の協力を得て、以下の植込み型医療機器について調査を実施。
・植込み型心臓ペースメーカ:30機種 ・植込み型除細動器:9機種
(3)調査結果の概要
1) 植込み型心臓ペースメーカについては、ペーシング機能への影響(*1)を生じる場合があることが確認された。
この影響は、携帯電話端末を遠ざければ正常に復する可逆的なもので、最も遠く離れた位置でこの影響が確認されたときの距離(最大干渉距離)は3cmであった。
2) 植込み型除細動器については、ペースメーカ機能(*2)及び除細動機能(*3)のいずれに対しても影響は確認されなかった。
(注)本調査では、植込み型医療機器へ及ぼす影響が最大となるよう、携帯電話端末の送信出力を最大にするなどの厳しい条件で試験をしており、調査結果(最も遠く離れた位置で影響が確認された距離等)を通常の通信状態における携帯電話通話方式間と比較することは適当ではない。
〈参考〉
*1 ペーシング機能への影響:外部からの電波の影響により以下の状態が発生すること。
ア)心臓ペースメーカ等が設定された周期でペーシングパルスを発生している状態において、外部からの電波の影響を受けたことによりペーシングパルスが抑圧された状態又は設定された周期からのずれが発生してしまった状態。
イ)心臓ペースメーカ等のペーシングパルスが抑圧されている状態において、外部からの電波の影響を受けたことによりペーシングパルスが発生してしまった状態。
*2 除細動器のペースメーカ機能:植込み型除細動器は、通常は植込み型心臓ペースメーカとして機能しており、このペースメーカ機能のこと。
*3 除細動器の除細動機能:植込み型除細動器が、心室細動(致死性不整脈の一種であり、心臓が突然痙攣を起こす現象)を検出した場合に、これを止めるために強力な電気ショックを与える機能のこと。
2、植込み型医療機器に関する注意事項
今回の調査の結果、新方式携帯電話端末が植込み型医療機器へ及ぼす影響については、最大干渉距離3cmである。他方、「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針」において「22cm程度以上離すこと」と規定されている。したがって、現行の指針において示されている「22cm程度以上離すこと」を引き続き遵守することにより、携帯電話端末が植込み型医療機器へ与える影響を防止できると考えられるため、引き続き現行指針を遵守するよう患者への指導をお願いするとともに、患者が小児等の場合には、その家族等への指導も併せて考慮願いたい。